服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第505回
私の二刀流読書法

シャーロック・ホームズはお好きですか。
もちろん人の好みはさまざまで、
アガサ・クリスティーやジョルジュ・シムノン、
さらにはディック・フランシスの名前を挙げる人もいるでしょう。
とにかく何度でも読みたくなってしまう、愛読書。
読んで読んで、もうすっかり文章の端々まで
覚えてしまっているような、愛読書。
私なら、レイモンド・チャンドラーかも知れません。
ご存じ、フィリップ・マーロウの物語ですね。

それはともかく大好きな本があったとしましょう。
するともっと深く読みたくなってしまう。
人の欲望は際限がないものです。
深く読むとは何か。
たとえばオリジナルを読んでみる。
チャンドラーなら英語版ですし、
シムノンならフランス語版ということになります。
これが実に面白い。
ただし断っておきますが、
私はフランス語はもとより、
英語もまったく出来ません。
出来ないけれど、面白いのです。

では、その方法を具体的にお教えしましょう。
まずオリジナル版を開きます。
これは当り前ですね。
原書で読もうというのですから。
次に辞書を脇に置く。
たとえば電子辞書。
これはページを開いておくための、
ペーパー・ウエイト代りにも使えて便利です。
さて、これからが私のズルイところで、
もう何度も読んだ日本語を横に置く、重ねて置く。

英語でもフランス語でも、
私にとってはチンプンカンプン。
でも、そもそも話の粗筋は
頭の中に入っているわけですから、
原書を眺めていても分ったような気がしてくる。
この不思議な錯覚が面白いのです。
まったく読めないはずなのに、
読めたような気持を味わえる。

さらに何度もこの二刀流読書法をつづけていると、
おやこの表現は英語ではこんな言い方をするのか、
と思わぬ発見をすることがあります。
そしてさらには何度も出てくる単語については、
ごく自然に覚えてしまうことでしょう。
勉強というのではなくて、
あくまでも趣味であり、
道楽というところが楽しいのです。


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