服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第518回
世界でたった1枚だけのスカーフ

生地屋をのぞいたことありますか。
だいたい男というものは、
生地屋に好んで入って行こうとはしないものです。
いや、女性だって最近は生地を買うことは
少なくなっているのではないでしょうか。
でも、私は商売柄もあって、時折、生地屋へ行きます。
ある大型生地屋の、
自分用カードをちゃんと持っています。
これでどの程度に生地屋へ行くか、お分りでしょう。

だからというわけではありませんが、
おしゃれのセンスを磨こうと思ったなら、
生地屋に行くに限ります。
当然、さまざまな色や柄の生地が並んでいて、
美の刺激を与えてくれるからです。
あの色いいなあとか、
あの柄でシャツを作りたいなあとか。
実際、デザイナーでも
生地からデザインを発想する人も少なくありません。

たとえばブルーという色ひとつにしても、
無数のブルーの生地が並んでいると、
自分の好きなブルーと、
そうでないブルーがあることに気づくでしょう。
このような繰返しは、
なによりの美のトレーニングです。

大好きな色の生地があったら、
1メーターためしに買ってみましょう。
たいていの生地は1メーターから売ってくれます。
コットンなら、値段も安い。
そして両端だけを、ほつれないように縫っておく。
もし生地幅が広いようなら、半分に切る。
1枚が2枚になるわけです。
もちろん切った端は縫っておく。

大好きな色の、1枚の布。
この布の使い方は自由です。
たとえば白いボタン・ダウンのシャツを着る時の、
首元に巻いてみましょう。
ちょっとしたアスコット・スカーフのようになるわけです。
もちろん時と場合によっては、
スェーターに合わせて
スカーフ風に組合わせることも出来ます。

なにしろコットンですから、
シワになろうと汚れようと、
まったく気になりません。
自分で洗って、自分でアイロンをかければ、
元通りになります。
そしてなによりも、
世界中でたった1枚のスカーフであるところが
うれしいではありませんか。


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