服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第520回
マイ・エプロンからはじまること

時に台所に立つことがありますか。
フライパンで玉子焼きを作ったり、
食器を洗ったり。
私はこう見えても、
たまには料理のままごとをすることがあります。
もっとも手伝っているのか、
邪魔しているのかは分りませんが。

さて、こんな時にぜひ一枚欲しいのが、
自分用のエプロン。
ところが私が使いたいエプロンが見当らないのです。
なにも難しいことを言っているのではなくて、
しっかりとした丈夫な生地であって欲しいのです。
できればシンプルな無地がよろしい。
使っては洗い、洗っては使うものだから。
コットンが良い。

そこで自分で生地を買って、
作ってみることにしました。
最初に言っておきますと、
エプロンを作ることほど簡単なことはありませんよ。
ほぼ四角に縫って、
上に細長い紐を付ければ完成。
ただしやや台形に裁断したほうが、
格好が良いようです。
もちろん上のほうを若干広くする。
これをしっかり腰に巻きつけるわけです。

自分用エプロンを使って分ったことが
ひとつあります。
やはり心構えが違うんですね。
やる気が出る。
運動会でハチマキを頭に巻いたような感じでしょうか。
もし生地が余っていれば、
予備のエプロンも作っておきたいほどです。

ところで“エプロン”apronはむかし
“ナプロン”napronと言ったのだそうです。
むかしというのは14世紀のイギリスの話。
一枚の布ですから、
“ア・ナプロン”a napronと実際には使ったわけです。
ところがある時、ある人が、誤解をした。
“アン・エプロン”an apronであると。
まあ、これはこれで理屈上は合ってるわけです。
結局、この誤解からはじまって、
“ナプロン”が“エプロン”になったという、
嘘のような本当の話なのです。

たわむれに、
ほんのおあそびで作った自分用のエプロンから、
もしかしたら料理の才能にめざめる(?)、
なんてこともあるかも知れませんよ。


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