服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第522回
手はおしゃれの出発点

あらためて自分の手をじっと見たことがありますか。
かく言う私自身もあまりじっくりとは見ませんね。
というよりもゆっくりと眺めていることを
避けているのでしょう。
残念ながら自慢できる、美しい手ではないからです。
指は太くて短いし、
当然のことながらペンだこはあるし・・・。
本当に恥かしい。
せめてもう少し爪がきれいならなあ。

そうだ、爪の手入れをしよう。
さりとて、
いきなりマニキュアというところまでは行きません。
爪みがきで磨くだけでも
もう少しマシになるのですが、それもちょっと面倒。
と、思っていたら、時代は進んでいますね。
男性用の爪の手入れ用品。
「ネイルペン」(1本2,300円)、
銀座、松屋の「ジャンポール・ゴルチェ」のコーナーで
見つけました。

見た感じも使い方も、
無色透明の細いサインペンに似ています。
黒いキャップを取って、爪に塗るだけ。
「ネイルペン」の特徴は、
いわゆるマニキュアとは別であること、
いかにもマニキュアです、
といった感じの光り方ではないのです。
ごく自然な光沢。
サインペンのような先端なので、
ハケで塗るのに較べて失敗が少ない。
これなら不器用な、小心者の私にも使えるでしょう。

「ネイルペン」は良いアイディアだと思います。
というのは自分の爪に対する関心、
さらには愛情が生まれるからです。
少しでも爪をきれいにしておこうと思うと、
当然のように指先のアレや
爪の上の甘皮が気になってしまう。
爪そのものにもヤスリをかけておかなくては、と思う。―
結局、このようにして
いつでも爪を、指を、手を
美しく保っておきたいと考えるようになるはず。

仮にここで、自分で愛情が持てるほどに
指や手が美しくなったとしましょう。
すると今度は手の動きですね。
まあ、たいていの日本人は手のポーズが下手ですよね。
いや、動かそうとする以前に、
手の置き場所にさえ苦労してしまう。
さて、手をどんなふううに置こうか。―
こんなことを考えるのも、
実はおしゃれの出発点なのです。


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