服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第571回
キイ・カラーで上手な色使い

1本のブルー・ジーンズを
ゆっくり眺めたことがありますか。
たとえばブルー・ジーンズには
何色使われているか。
まず、タテ糸のブルーがあります。
ヨコ糸の白(正しくはオフ・ホワイト)。
縫糸のイエローとオレンジ。
カパー・リベットの赤銅色。
レッド・タブ(赤タブ)の赤。
つまりざっと6つの色で構成されているわけです。
ついでながら「赤タブ」とは、
右側ヒップ・ポケット左側に付く、
小さな、赤いタブのことですね。

さて、ブルー、ホワイト、イエロー、
オレンジ、赤銅色、赤。
この6色で1本のブルー・ジーンズが完成されている。
ということはジーンズを上手に着こなそうとしたなら、
以上の6つの色がキイ・ワードになるわけです。
ごく単純に考えるなら、
ブルー・ジーンズに白のTシャツが似合うのは、当然のこと。
同じように、
イエローやオレンジのポロ・シャツが美しく映えるのも、
理に叶ったことなのです。

その昔、『理由なき反抗』のなかで、
ジェイムス・ディーンが、
ジーンズに、白いTシャツ、
赤いジャンパーを組合わせたのも、
キイ・カラーのルールのひとつでもあったのです。

ジェイムス・ディーンの着こなしを
参考にするか否かはさておき、
頭のどこかに“キイ・カラー”という考え方を
置いておくのは良いことです。
シャツでも、ジャケットでも、パンツでも、
一見なに気ないようでも、
実は数多くの色から作られているのです。
ひとつの着こなしのなかで、
異なった色と色とがぶつかってしまうのは、
避けるべきです。
極端に言えば、
色は少ないほど美しい着こなしになります。

たとえば複雑な色柄の
チェックの半袖シャツがあったとしましょう。
そんな時にこそ、
“キイ・カラー”を使うべきです。
つまりチェックに使われている色に揃えて、
他の服装を組合わせましょう。
カラー・コーディネートの原則もまた、
整理整頓にあるのです。


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