服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第661回
ショウを観るときのエチケット

ショウを観るのはお好きですか。
ショウとはここでは
「ファッション・ショウ」のことです。
時に“コレクション”とも呼ばれるのは、
ご存じでしょう。

私が最初に観た頃のショウは、
まず例外なく解説つきで、とっぴな連想ですが、
昔の活動映画における
弁士の語りのような印象があったものです。
今は原則として解説なしで、
第一スピードがかなりはやくなっています。
変れば変るものです。

ショウはたいていの場合、
少し遅れてはじまります。
10分遅れ、15分遅れ・・・。
これは世界的な傾向でもあります。
ショウの舞台裏はまさに戦争で、
たいてい何か事件が起る。
だから遅れてはじまるのです。
でも、だからといって観るほうは
けっして遅れてはなりません。
必ず時間前に行くこと。
私は30分前には行くようにしています。
そしてショウがはじまるまでの、友人との会話がある。
これがなんだか社交のような感じで楽しいのです。

ステージがあり、そこをモデルが歩く。
で、最先端まで来ると、しばし止りますね。
その位置に近い客席が最上席。
いわばVIP専用席、
もしあなたがVIPなら
ここに座って良いわけです。
でも、まわりも皆、VIPばかりですから、
話のしようがなくて困る。
私はいつもずっと後のほうで観ることにしています。
とくにVIPとして招待された場合には、
花束の心配もしなければならないでしょうし、
なにかと気をつかうものです。
歌舞伎ではありませんが、
は後のほうで観るものです。

昔のショウは写真やスケッチは厳禁でした。
今でも、観ることに専念するのが
礼儀というものでしょう。
主役であるデザイナーは、
客の観方がとても気になるものですから。

ショウの最後に必ず、デザイナーの挨拶があります。
この挨拶の前に席を立つことは大変失礼なことです。
多少急ぐことがあっても、
最後までゆっくりとした気分で。
もし、多少なりともデザイナーと面識がある場合には、
あとで葉書に感想でも書いてあげましょう。


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