服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第780回
ブレザーとジーンズは親友です

ブレザーの年齢が
およそいくつ位か知っていますか。
1890年頃から流行りはじめたそうですから、
少なくとも110歳をこえているわけです。

今から110年前のブレザーと
現在のブレザーとの大きな違いがひとつあります。
それは裏地の有無です。
今のブレザーには裏地があり、
昔のブレザーには裏地がなかった。
ついでながら正しくは
“ブレイザー”blazer。
“ブレイズ”blaze(「炎」の意味)からきた言葉。
これは最初のブレザーが
燃えるような真紅であったことを示しています。
これはケンブリッジ大学ボートクラブでの
チーム・カラーであったからです。

要するに昔の“ブレイザー”とは、
スポーツ選手が競技中に着る
ユニフォームだったのです。
そこでなるべく軽快、簡便に、
裏地なども省略されていたのでしょう。
つまり今のウィンドブレイカーのような
存在であったと思われます。

さて、今でも裏地を省略した服があります。
それはジーンズです。
ふつうのトラウザーズには
たいてい芯地や裏地がついていますが、
ジーンズに限っては
必ず一重(ひとえ)で仕立てられます。
いわゆるアンコンストラクテッド
(無構造)の仕立て方なのです。

だからと言うわけではありませんが、
ブレザーとジーンズはよく似合う。
もちろん年齢に関係なく、
誰でもこの組合わせを楽しむことができます。
むしろ少しでもブレザーの着こなしに迷ったなら、
ジーンズを思い出して下さい。
ネイヴィー・ブレザーとブルー・ジーンズは
永遠のユニフォームだと考えて
良いのではないでしょうか。

でも、ブルー・ジーンズだけが
ジーンズではありません。
たとえば時にはホワイト・ジーンズを組合わせてみる。
足もとには白いスニーカー。
春にはこんな格好で町を歩いてみたいものです。
そしてよく考えてみれば、
これこそ昔のトレイニング・ウェアの姿ではありませんか。
そんな「見立て」をするのも、
着こなしへの自信を深めるひとつの手段なのです。


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