服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第831回
タンとイエローの幸運の配色

今回は、日ごろご愛読下さっている読者の
shigeo kakudou 様から
「夏色の革靴と靴下の色合いの相性」について
質問メールをいただきましたので、
そのご回答を掲載させていただきます。


■ shigeo kakudou 様にいただいたメール

件名:夏色革靴との靴下の色合いの相性

出石先生へ。

御無沙汰致しております。
先生のコラムを毎日楽しく拝見させて頂いております。
お忙しい中誠に恐縮ですが、
今回も新たな御質問がございます。
それは夏色の革靴と靴下の色合いの相性についてであります。

今年の東京はまだ花冷えの日が続いておりますが、
日差し自体は初夏の様相を呈して参りました。
この頃の時期になると私は決まって毎年、
色鮮やかなタン色(茶系黄土色)の革靴(ローファー)が
欲しくなります。
この色の靴は白色のズボンはもちろん
淡色のボトムスにマッチングすること間違いナシであり、
夏場のカジュアルシーンで
幅広く活用できることと思います。

しかし私は、
その色の靴にどういう色の靴下を合わせてよいのか
イメージがわかないため、
先程、私が毎年欲しくなると申しましたとおり、
実は何年も前から買う買わないと悩んで
未だに買いそびれている状態なのであります。

そこで先生に質問ですが、
タン色(茶系黄土色)の革靴(ローファー)にピッタリの靴下の色、
ぜひとも御教授戴けないでしょうか?
ちなみに私の所有する革靴のほとんどは黒色であるため、
グレー系の靴下なら
黒から淡いグレーまで細かく濃淡段階をつけて
結構バリエーション豊富に所持致しております。


■出石さんからのA(答え)

ご丁寧にもお便りを下さり
ありがとうございます。
また日頃からお目通し下さっていることにも、
重ねて御礼を申上げます。

英語で“キス・ザ・タン”
kiss the tan といえば
「落馬」の意味になるそうです。
なぜそうであるのか私は知りません。
が、勝手な想像をするなら、
鞭(むち)をはじめとする馬具を指して
“タン”と言ってるのではないでしょうか。
いずれにしても色名である“タン”から
容易に革製品を連想させることは
間違いないようです。

皮を鞣(なめ)して革にすることを
“タニング”tanning と言いますが、
これも“タン”から出発しているわけです。
要するに鞣(なめ)し本来の色が、
タンなのでしょう。
それは素直で、素朴で、美しい色ですが、
一面陽に灼けて色が変ることもあります。
また、その色の変化を楽しむ通人もいます。
いずれにしても昔も今も、
タンがおしゃれで
贅沢な色であることに変りはありません。

さて、一般論を申しますと、
靴下の色の選択については
次の3つのことが言えるでしょう。

・パンツの色に揃える。
・靴の色に揃える。
・パンツと靴の混合色に揃える。

以上の結果、
どうしても男の靴下の色は
ダーク・トーンが多くなってしまうのです。

ところでタンのローファーに何を合わせるか。
これは当然カジュアル・ウェアでしょうから、
私ならまず第一にイエローを想起します。
夏期ならコットン・ソックスが一般的でしょう。
タンのローファーにイエローのソックス。
このイエローはかなり鮮明な色でも良いのです。
もちろん場合によっては
イエローを中心にした
アーガイル柄という選択もあるでしょう。

その次に選ぶならオレンジ。
もし、オレンジの次と言うなら、ベージュ。
けれども私の好みとしては、
タンのローファーには
イエローほどよく合う靴下の色は
ないように思われます。


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