虎ノ門漢方堂店主・城戸克治さんの
やさしい漢方の話

第77回
汗は心臓の涙か、ため息か?(問診3)

中医学では、
日常の汗のかきかたによっても
そのひとの身体の状態を知ることができます。

例えば、
寝ている間だけ汗をかくことは、
盗汗(とうかん)と呼ばれる症状で
陰虚といういわゆる体液不足の状態に
なっていることを示しています。
こんなときには、
口の渇き・手足のほてり・のぼせ・不眠・
寝つきが悪いといった症状も現れやすくなります。

また、身体が芯から冷えていると
ほとんど汗をかかなくなったりしますが、
中医学で自汗(じかん)という
何もしなくても汗がでて
身体を動かすとさらに汗がひどくなる場合も
身体が冷えている状態と考えることがあります。
特に、現代の生活では、
自分でも気がつかないうちに
冷たい飲食物・生もの・冷蔵庫・冷房などで
体を冷やしすぎていることが非常に多いものです。

また、日本では、
汗をかくことは身体によいと思われていますが、
そんなにいいことばかりではありません。
特に、カゼの場合、
葛根湯や卵酒などで
身体を温めて発汗させる治療のやりかたは、
カゼの引き始めで自然発汗がなく
身体が比較的丈夫な場合だけに使われる方法です。
それ以外の場合に、こんなことをやりますと
逆にカゼが身体の奥のほうに入り込んでしまい
病気が重くなってしまうことがあります。
中医学では、汗は「心臓の涙」とか
「白い血液」だとかいわれており、
むやみに出すものではないと考えられています。


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