虎ノ門漢方堂店主・城戸克治さんの
やさしい漢方の話

第266回
「眠れない夜」

西洋医学では、不眠というと
まず精神安定剤や睡眠薬が処方されるように、
脳神経の異常な興奮が
不眠の主な原因であると考えられています。
しかし中医学では、不眠は
もう少し違った原因から起こる
病気というふうにも捉えられております。

なぜなら、西洋医学では
思考や精神を支配する機能は
脳にあるとされていますが、
中医学では五臓六腑の「心」
その役目を担っているとされているからです。

心は、西洋医学の心臓と同じような
血液を送るポンプとしての役目だけでなく、
思考や精神を宿す働きを持っている臓器で、
中医学では精神状態を安定させるには、
心を養う気・血(血液)・水(体液)が
心に十分な量あることが
必要不可欠と考えられています。

ですから、何らかの原因で
心の気が不足すれば、
心の働きが弱まり不安感が増大して、
細かいことが気になる・寝つきが悪い・
こわい夢をよく見る・少し動くとすぐ動悸がする・
疲れやすいなどといった症状が現れます。

また、心の血が消耗すれば、
血色が悪い・動悸がするなどとともに、
夜中に目が覚めて眠れない、
なかなか寝つけないなどの症状が現れ、
心の水が十分でなくなれば
頭や身体がのぼせたり火照ったりして、
気分が高ぶってなかなか眠れない、
一晩中悶々として一睡もできない
などといった不眠の症状が起こってきます。

こうしたタイプの不眠は
中医学では「虚の不眠」と言われ、
精神安定剤や睡眠薬などのいわゆる
気を抑える作用を持つ薬を使い続けると、
いずれ見当違いの結果を引き起こしてしまいます。


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