虎ノ門漢方堂店主・城戸克治さんの
やさしい漢方の話

第292回
「日本一、給料の安い医者」の物語

家族を心配する感情に巧みにつけこんで、
電話1本で金をだまし取る「オレオレ詐欺」。
最近、手口がますます巧妙化して、
医師や薬剤師、看護士など
医療関係者にも
大きな被害が各地で拡がってきています。

「お宅の息子さんが、
 医療事故を起こして患者を死なせた。
 病院と患者との間で示談が成立したが、
 自己負担が300万あるので
 相手方にすぐに払ってほしい」・・・など。
医療関係者がこの頃、
急に狙い撃ちされるようになったのは、
高額の金を比較的、簡単にだまし取れるから。

なぜなら、こうした職業は
最近、テレビや新聞などでもよく報道されるように、
「薬の調剤を間違えた」
「カルテを取り違えた」
「注射を間違えて打ってしまった」など、
ちょっとしたミスが
大きな事故につながりやすい職種だからです。

医学的知識にある程度精通している犯人なら
いくらでも、架空の医療ミスを作り出すことができます。
へたをすると、オレオレ詐欺の犯人たちにとって
医療業界は、大きな宝の山になりかねません。

平均的な被害額は、200万円〜600万円と
他の「オレオレ詐欺」より高額で、
1000万円以上を振り込んだ
医師の家族の方も
中にはおられたという話です。

医師や医師の家族は、世間一般に
お金に恵まれているように思われていますが、
決してそうばかりではありません。
一部の開業医の方が
思う存分に儲けておられることは事実ですが、
国公立の病院や
大学病院などに勤務する医師の場合では
生活にそれほど余裕があるわけでもありません。

現に、私の弟などは
日本でも最難関の大学出身の医師ですが、
研究ばかりしていたため本当に給料が安く、
「日本一、給料の安い医者」
と嫁さんに断りを入れてから、
恐る恐るプロポーズしたという話です。


←前回記事へ 2004年12月7日(火) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ