虎ノ門漢方堂店主・城戸克治さんの
やさしい漢方の話

第329回
「アラーの神は、偉大なり!」

イスラム教を信仰する多くの民族では、
アルコールを飲むことは大概、
禁止にされています。
どうしてアルコールを飲むことが
禁止されているのかといいますと、
宗教上の理由がいろいろ考えられますが、
「実は、それは健康上の理由からだった」という
医学的に興味をそそられる面白い話があります。

一般に、イスラム教を信仰する民族は
砂漠や暑さのきびしい地域に住んでいることが多く、
飲料水を確保することは
日本では考えられないほど重要な仕事になります。
なぜなら、人間は食べ物を食べられなくても
何日間も生き延びることが可能ですが、
水なしでは
ほんの数日しか生きることができないからです。

前述の話を医学的な面から説明しますと、
少量のアルコールは
身体を副交感神経優位の
リラックスした状態に導いてくれます。
しかし、量を飲みすぎてしまうと
交感神経優位の緊張した状態に陥ります。

身体が交感神経優位の緊張した状態に陥ると
どういう現象が起こるのかといいますと、
まず血圧が上がって血液の流れがよくなり、
腎臓からの水分の排出量が著しく増加します。
つまり、血液の中の水分量が減少し、
結果的に、我々の身体に脱水症状をもたらします。

緊張するとトイレが近くなる理由も、
また二日酔いになると
いくら水を飲んでも喉が渇いて仕方がない
といった理由も、こうしたことが主な原因です。

過剰なアルコールの摂取は
脱水症状を引き起こし、
最悪の場合は死に至ることさえあります。
日本のような水資源に恵まれた土地なら、
たとえ脱水症状を起こしても
すぐに水を手に入れることができますが、
水資源に恵まれない砂漠や
暑さのきびしい地域では、
命取りになることが往々にしてあります。
つまり、コーランの教えは、
そうした地域に住んでいる人々にとって
生命を守る大切な道しるべでもあるのです。


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