虎ノ門漢方堂店主・城戸克治さんの
やさしい漢方の話

第336回
「看板に、偽りあり」

ステロイド剤には、
異物から身体を防御しようと働く
“免疫機構”を抑制する作用があるため、
外部から細菌、ウイルスなどの異物が
体内にフリーパスの状態で侵入しやすくなります。
つまり、感染症に掛かる割合いが
非常に高くなってしまう副作用があるということです。

今年はインフルエンザの流行が大幅に遅れて
対象とするインフルエンザの型が変わってしまい、
予防ワクチンの効果がほとんどなくなっておりますが、
特にこのような場合には
ステロイド剤の使用に気をつけなければなりません。

その他、よくみられる
ステロイド剤の副作用としては、
胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの症状があります。

また、時々起こりうる副作用として、
顔などのむくみ(ムーンフェイス)、日光過敏症、
多毛症、高血圧・糖尿病など生活習慣病の悪化。

長期間の使用で起きる副作用として、
眼圧の上昇、白内障、精神不安、
頭痛、骨密度の減少などがあります。

なぜ、このようにステロイド剤の副作用が
多岐に渡って発生するのかといいますと、
それはステロイドに対する受容体が
私たちの身体全体に備わっているからです。
言い換えれば、ステロイド剤は
受容体が身体全体に備わっているため、
いろいろな症状によく効くのだ
というふうに解釈することができます。

これは以前、
ある人から聞いた話ですが、
漢方薬にステロイド剤を混ぜて
よく効くという評判を取っていた連中が
医師や薬剤師の中にもおったそうです。
また、よく効くという評判の
中国製の漢方薬や健康食品に、
ステロイド剤が混入されていた事件もありました。
養生することなしに、
何にでもよく効くという薬には
やはり注意したほうが賢明のようです。


←前回記事へ 2005年3月19日(土) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ