虎ノ門漢方堂店主・城戸克治さんの
やさしい漢方の話

第335回
ステロイドを花粉症に使わない、真の理由とは?

花粉症とは、体内に侵入した異物から
身体を防御しようとする
生体反応の一種で、
免疫細胞がIgEと呼ばれる抗体を作り
体内から花粉を追い出そうと働きます。
つまり花粉症になると、くしゃみや
鼻水、涙目などの症状が頻繁に起きるのは、
異物すなわち花粉を追い出そうとする
人体の生理的現象であるということがいえます。

しかし、花粉症の患者さんにステロイドを使うと、
異物を排除しようと働く
“免疫機構”そのものが抑制されるため、
どんなに花粉症の症状が重くても
面白いように症状を解消することができます。

ではどうして、
そんなに効果の優れたステロイドを
花粉症に使わないのかといいますと、
その一番大きな理由は、
外部から細菌、ウイルスなどの異物が
体内にノーチェックの状態で侵入しやすくなり、
重篤な感染症にかかる危険性が
非常に高くなると考えられているからです。

例えば、今年のように
花粉の量が例年に比べて30倍以上も多く、
なおかつインフルエンザの流行が遅れて
発症時期が運悪く重なってしまった場合など、
ステロイドの使い方によほど注意しないと
重い感染症を引き起こしてしまう恐れが多分にあります。

また、ステロイドの点鼻薬の場合、
含まれているステロイドの量も少ないし
身体の中に吸収されにくく作られているため、
重い感染症を引き起こす心配は
ほとんどないと思われておりますが、
鼻の粘膜は外敵が
一番、侵入しやすい部分であるわけですから、
インフルエンザが猛威をふるっている時は
使用を控えたほうがやはり無難でしょう。


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