いつか本で読んだ『アラビアのロレンス』のことをしきりに思い出していた。本当にロレンスのように生きたかったら、私は台湾でゲリラ隊の親分にでもなるのが本筋であろう。
しかし、私のように、頭でっかちの「青白きインテリ」は、頭の中ではそう考えても、実際にやってみると、ゲリラ隊など思いもよらなかったし、そんなことよりも外国へ出て、外から攻めるようにしなければならないと気ばかりあせった。
そうしたある日、いつものとおり銀行に出勤をして机の上に置かれていた新聞を手にとってひらくと、一ページ大の大きさで台湾省議会の黄朝琴議長が、国連本部駐在のAP、UP記者が台湾独立連盟による国民投票の請願書が来ていると報道したのに対して、激しい調子の反駁文を書いていた。それを見た途端、私は自分の頭から血の気がサーッとひいて行くのを感じた。
本能的に私は身構えた。日本では総理大臣にバカヤローと言ってもどうもないし、火野葦平氏のように九州独立論を唱えても、身に危険は及ばない。しかし、韓国や北朝鮮や中国のようなところでは、自分のところのボスの批判をしただけでも生命が危なくなる。
私は身に危険を感じて、なるべく早いうちに台湾を離れようという気になった。
お金がなかったので、まず軍資金をつくる必要があった。台北市で、私は日本人が去ったあとの日本家屋に住んでいたが、自分の持ち物でなくとも住んでいるうちに権利が発生し、それが譲渡の対象になっていた。
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