「表通り」へ転換して
もし私がどうしても株をやってみたいという異常な執着がなければ、恐らくここでそのまま引き返してしまったことだろう。しかし、私はどうしても自分でためしてみないと気がすまないと思っていたので、しばらく証券界の動きに注目していた。各証券会社が投信の募集に力を入れ、月に二百億円くらいのお金を集めていた。いわゆるオープン四社はより多くの資金をかき集めるために、過去において設定した投信の決算価格の引き上げに狂奔していた。
私は彼らの手口を見ていて、もし四社が四社共通の組入れ銘柄を買い上げたのでは、他社を利する結果になるから、自社だけの単独組入れ銘柄に力を入れるに違いないと妙なところに気がついた。たまたまある株価分析の専門家が私のところへ投信組入れ銘柄の一覧表を持ってきてくれて、六月から九月までの間にどれくらい上がったか、一覧表にしてみせてくれた。
私はなるほどと納得をして、「よし、わかった」といって四社の単独組入れ銘柄の中から、日清製粉、台糖、野田醤油、日本陶器、日本硝子といった銘柄を選んで証券会杜に相乗りする作戦を思い立った。これが私にとって株式市場への初出場となった。
考えてみれば、私が生まれてはじめて買った株は、妙ちきりんなものばかりであった。私の買い根拠は利回りでもなければ、成長株でもない、証券会社の利害打算の尻馬に乗るといういささか意地の悪い動機からであった。
もし証券各社が自社投信の決算価格をあげようと思えば、単独組入れ銘柄を買いまくって値を上げるよりほかない。そうなれば、こちらは何の努力もしないで、投信の値上がりに相乗りすることができる。そう考えたので、一見、地味な人気のない株ばかり買った。
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