それからしばらくたったある夜、経済評論家の小汀利得さんとテレビ局で一緒になった。テレビの出演が終わって、帰る方向が同じだったので、私は自分の車に小汀さんを乗せてお宅まで送ることにした。
途中、私は小汀さんに、最近、株に興味を持つようになったこと、はじめて株を買ってみたことを話した。小汀さんがどんな株を買ったかときくから、私は投信の単独組入れ銘柄を狙った話をしたら、
「邱さんらしい人の裏をかく株の買い方ですね。でも日本経済はこれから発展するのですから、もう少し表通りに出たらどうですか」
と小汀さんは言った。
「表通りってどんな株のことですか?」ときいたら、「鉄鋼とか、造船株ですよ」と小汀さんは言った。小汀さんの言うことに耳を傾けていたら、一理も二理もあるような話だったので、私はなるほどと思い、折角、買った株を全部叩き売って、トヨタ自動車に乗りかえた。
そうしたら、トヨタが公募増資の発表をして、株価が一時、逆に下がった。反対に私が売ってしまった日本陶器や日本硝子の株がグングン値を上げはじめた。
アレヨアレヨと目を白黒しているうちに、私は自分が最初に狙ったことが正しかったことを見せつけられることになった。専門家の言うことが間違いであることはもはや疑う余地がなかった。以来、私は株を買うのに、専門家の意見は一切、耳を傾けないことにした。
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