買い手も見つかり
鬼怒川はちょうどその採算圏ギリギリのところにあったが、先々のことを考えれば、いまから着手をしてちょうどという気もしないではない。そこで資本金五百万円の会社をつくり、関西工機には二百万円出資してもらい、私も二百万円出資し、地元の採掘権を持った人に社長になってもらった。社長の出資分は百万円と定めたが、本人にお金がないので、私が一時立て替えることにした。
当時、私は週刊誌で、これから成長をしそうな企業を訪問し、どの株が有望だという記事の連載をやっていた。私のルポは多くの投資家の関心を集め、私がどの会社の株がよいと言うと、週刊誌の出たその日のうちに毎週のようにストップ高をするというほど人気が沸騰していた。
私の推奨した株の中には建設会社もいくつかあったが、その中の一つの佐藤工業が栃木県で盛んに電源開発の仕事をしていた。私は佐藤工業の社長のところへ出かけて行って、
「実は鬼怒川べりで砂利の選別工場をつくることになったが、製品を買ってもらえないか」
と持ちかけた。どのくらいの能力があるかときくから、まあ、せいぜい月に一万立米くらいでしょうと答えたら、そのくらいならうちで一手に引き受けましょうと、二つ返事で受けあってくれた。
これなら話はもうできたも同然だと私は喜んだ。代金は佐藤工業から三か月の手形で払ってくれるという。その手形を富士銀行の宇都宮支店に持ち込んで割ってもらえば、プラント代金として関西工機に切った手形をおとすことができる。ほかにブルドーザーやショベルローダーの手形もあるが、順調に砂利の納入ができれば、最初の二年間は手形をおとすのに手一杯だが、それが終わった頃から、かなりの利益がでる目算である。少なくともぺーパープランではそういうことになっていたが、実際にやってみると、次から次へと障害が起きるもので、文士の砂利屋は小説の中の登場人物を動かすようなわけにはいかなかった。
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