六千万円の授業料
ところが、日本人には奇妙な性癖があって、同じ日本人が監督指導してつくったものであっても韓国製、台湾製だと安く叩いて買おうとする。コストが安いのだから売値も安くて当然じゃないかと最初から値切ってかかる。
洋服やハンドバッグだと、どんな粗悪品でもフランス製やイタリア製なら高く買うが、韓国、台湾ときいただけでアラ探しがはじまる。似たような発想で額縁を台湾でつくって東京に運んできたことがあるが、日本人は台湾製ときくと、すぐに額縁の裏側をひっくりかえして、こんな乱暴なつくりじゃ誰も買わないという。ふだん、額縁の裏側を見ているわけでもないのに、値切るときには裏にケチをつけるのである。
その点、アメリカ人は表面がきちんとしてさえおれば、あとは値段の交渉だけになるから、私が日本人の技術者を連れて行って教え込んだ職人たちは、ほとんど独立をしてアメリカ向け輸出に精を出すようになった。
生憎なことに剣道具はアメリカやヨーロッパには売れない。売れても十セットとか、二十セット程度にすぎない。唯一の市場である日本が、そういう姿勢で海外製を見下している上に、石油ショックで素材の値段が倍近く上がるようになると、売れ行きは一段と悪くなった。
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