牧場主の夢一幕で四千万円
長年の夢を実行に移す
当時のアメリカの大統領はジョンソンであった。アメリカの大統領が誰であるかということと、私の仕事とは直接何のかかわりもないのだが、新聞を見ていると、ジョンソンは政務に少しヒマな時間ができると、すぐ自分の牧場に休養に出かける。牧場という事業は、多分、アメリカでもお金になる事業ではないと想うが、自分で牧場を持つことはアメリカの金持ちにとってはカッコのよいことに違いない。
私は町なかの小商人の家に生まれたので、何百町歩も田畑を擁する田舎の地主の生活に一種のあこがれを抱いていた。『風と共に去りぬ』の小説の中に出てくるジョージア州の綿花園のオーナーなどは夢のまた夢だが、もし自分の資力の範囲内で牧場のようなものが持てたら、一生に一度くらいは牧場主になってみたいものだと常々思っていた。
台湾へ帰るようになってから、ある日、行政院の副院長(副総理にあたる)をやっている徐慶鐘さんを訪問した。徐さんは台北高校、台大農学部を卒業した農政の専門家で、ほとんど台湾人を高級役人に起用しなかった当時の国民政府の中では、珍しく出世頭のほうであった。農業という政治の中核からズレたところにいるので、国民政府のほうでも安心して起用したせいもあるが、同じ高校の出身で先輩だった気安さもあっていろいろと話をしているうちに自然、牧畜の話に移って行った。
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