温泉で元気・小暮淳

温泉ライターが取材で拾った
ほっこり心が温まる湯浴み話

第11回
「かけ流し」と「源泉かけ流し」

「かけ流し」「源泉かけ流し」の違いを知っていますか?

「かけ流し」とは、湯が浴槽に注がれながら、
あふれ出ている“状態”のことを言った言葉で、
使用されている温泉の質のことは問われていません。
加水や加温、循環装置の併用、塩素消毒をしていようが、
湯を注ぎ込みながら浴槽から湯があふれ出ていればいいのです。
ですから、湧出量の少ない温泉でも可能なわけです。

現在、「かけ流し」とうたっている温泉の8割が、この方式です。
正式には「半循環式」「放流一部循環式」などと、
表示しなければならない利用形態です。

一方、「源泉かけ流し」は、かけ流している状態に加え、
お湯の“質”が問われてきます。
加水もせず、加温もせず(加温を認める人もいます)、
そのまま浴槽に注ぎ込んでいる方式のことです。
当然、循環の併用も、塩素消毒もしてはいけません。

さらに厳しいことを言えば、
貯湯タンクに湯を貯めてもいけません。
時間の経過とともに、源泉が空気に触れ、劣化するからです。

「源泉かけ流し」とは、
湧出した源泉をノンストップで浴槽まで引き込み、
浴槽の中に湯をとどめずに、
常にオーバーフローさせている温泉にのみに与えられる
名誉ある称号なのです。

ですから湯量が豊富で、温度が高い源泉が湧き、
それらの管理ができる腕のいい湯守(ゆもり)のいる宿や
施設にしか存在しない、希少な温泉と言えるでしょう。
そういった本当の意味での「源泉かけ流し」は、
全国でも1割未満しか存在しない
と言われててます。

しかし、言葉の意味を知らずに
「源泉かけ流し」という言葉だけが
一人歩きしてしまっていることも事実です。
言葉に惑わされずに、
自分の目と知識で探し当ててみては、いかがでしょうか。

本物の「源泉かけ流し」に出合えたときの喜びは、
温泉好きにとって、これ以上の至福はありません。


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2012年1月4日(水)

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