温泉で元気・小暮淳

温泉ライターが取材で拾った
ほっこり心が温まる湯浴み話

第47回
タダほど良い温泉はない

私がプライベートで温泉旅館に泊まる場合、
1万円以下の宿と決めています。
それは私が温泉旅館に、
設備や料理、サービスを求めていないからです。
新鮮で湯量豊富な温泉があり、心安らぐ自然環境があれば、
それ以外の贅沢は必要ありません。

最近は1泊、何万円という豪華な旅館やホテルに
人気があるといいます。
確かに値段の高い宿は、
それなりの満足を得られるかもしれません。
しかし、料金の高い宿が、良い温泉とは限りません。
いいえ、私はその逆で、
温泉の質は料金に反比例するとさえ思っています。

では、宿泊料金の安い宿と高い宿とでは、何が違うのでしょうか?
当然ですが、料金が高くなる理由は、
建物や設備、料理の食材、人件費にコストをかけているため
です。
温泉とは、地中から自然に湧き出してくるものです。
もともとは、タダのものでした。
そこへ人間の手が加われば加わるほど、
温泉にもコストがかかってきます。

自然湧出、自然流下、源泉かけ流しの温泉なら、
コストはかかりません。
これが地中を掘削して、動力によりくみ上げて、タンクに貯湯し、
加温や加水をしながら循環ろ過装置を使って、
温度を一定に保ちながら消毒をしていれば、
設備費や光熱費、人件費がかかってきます。
よって、お湯の良い宿は、料金も安くできるのです。

外湯(共同湯)のある温泉地へ行ってみれば、一目瞭然です。
湯量が豊富だからこそ、無人の外湯があるわけです。
そして、そのほとんどが無料です。
タダほど良い温泉はありません。
これが、温泉の質と料金が反比例する理由です。

当然、温泉旅館に求めるものは、人それぞれでしょう。
豪華な料理やサービスを楽しみにしている人も多いと思います。

しかし、そこが温泉地である以上、
第一に価値を求めるモノは“温泉”であってほしいのです。
なぜなら、それが本来の湯治の姿だからです。





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2012年5月9日(水)

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