温泉で元気・小暮淳

温泉ライターが取材で拾った
ほっこり心が温まる湯浴み話

第61回
湯に人が合わせる温泉

入浴に適温とされる温度は、41〜42度といわれています。
熱からず、ぬるからず、ちょうど良い温度です。
当然、快適な温度には個人差がありますが、
この温度が一番、苦情の出ない温度ということになりそうです。
ですから最近はコンピュータ制御により、
ピッタリこの温度に設定されている入浴施設がほとんどです。

そもそも温泉は、利用する人間の
都合の良いようには湧いていません。
それゆえ先人たちは、入浴のために知恵を重ねてきました。
熱ければ加水して冷やし、ぬるければ加温して温めました。
しかし、それでは本来の温泉の効能は求められません。
そこで先人たちは、
温泉に自分たちが合わせるという入浴法も行ってきました。
これが“湯治”です。

天下の名湯、草津温泉には
昔から「時間湯」という入浴法があります。

草津の湯は、五寸釘が10日ほどで針金のようになってしまうほど
酸性が強く、温度も最も高い源泉では94度もあります。
その分、殺菌力が素晴らしく、大腸菌などの細菌は
10分ほどで死滅してしまいます。
この温泉が持つ強烈な薬効を
効果的に利用した入浴法が、時間湯です。

時間湯とは、「湯長」と呼ばれる指導者の号令を合図に、
約48度の高温の湯に1日4回浸かり、
これを何週間も行う荒療治
です。

この時間湯の際、最初に行うのが「湯もみ」です。
湯もみは、高温の湯を冷まし、湯をやわらくするだけではなく、
これから高温浴を行うための準備体操の役目も果しています。
湯もみを行うときに歌われた唄が、
みなさんが良く知っている草津節などの「湯もみ唄」です。

この湯もみと湯もみ唄を観光客向けに披露しているのが、
湯畑前の「熱の湯」です。
ここでは、観光客の湯もみ体験もできます。
また現在、湯長のもとで時間湯を行っているのは
「千代の湯」と「地蔵の湯」の2カ所ですが、
観光客用には日帰り入浴施設の「テルメテルメ」でも
有料で体験することができます。


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2012年6月27日(水)

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