イラストレーター・小泉鉄造さんが
明かしてくれる、株式投資の虎の巻

第551回
追い風と向かい風

業績が回復していく予想だった企業が
その後赤字に転落していく場合もあります。
赤字までいかなくても増益予想が減益になるときが出てきます。
こうなると企業回復期待で投資したことが裏目に出てきます。
業績回復期待で投資を行っていく上で
企業自身が回復していくかどうかを見極めるうえで
見ておきたいのが
投資を考えている業種自体の景気です。

企業が成長していくには
その企業自身が単独で伸びていく場合もありますが、
企業自身の問題よりは
企業が属している業種自体が不振になってきた時には
その企業も影響を受けます。
その程度がどのくらいなのかわかっていたほうがいいでしょう。
投資した企業がいくらがんばっても
投資している業種全体が停滞時期に入ってきたなら
その中から1社だけが伸びていくことは
難しいかもしれません。
業種に追い風が吹いているのではなくて
向かい風が吹いているのですから
風を受けながら前に進んで行くことはなかなか大変です。
風もただの風ではなくて台風だったときには
前に進むどころか風に吹かれて
後ろのほうに後退して行くようになるかもしれません。

石炭は価格が高騰して利益が大きく伸びました。
伸びた理由は電力で使う石炭が
供給が需要に追いつかない状態となり価格も上がってきたためです。
石炭産出で国内大手のエン州煤業(コード:1171)は
2004年決算で売上高が52.2%増収で
純利益でも127.5%増益と大きく伸びました。
石炭関連企業にとって石炭価格高騰は
利益を出していける追い風が吹いています。
逆に電力企業にとっては石炭価格が高騰することで
原材料価格が上がり
売り上げが伸びても原材料に支払うお金が増えて
利益が減っていくようなサイクルに入っていきます。
多くの電力企業が今回の原油価格高騰で利益率が落ちました。
2004年決算では電力大手企業の華能国際電力(コード:0902)が
売上高で25.5%増収ながら純利益では2.0%減益になっています。
華電国際電力(コード:1072)も
売上高で26.2%増収ながら純利益では1.4%減益になっています。
このような逆境でも大唐国際発電(コード:0991)は
売上高が24.1%増収で純利益でも29.0%増益となりました。
大唐国際発電が純利益で増益となったのは
同社の発電所が80%以上炭鉱の近くにあり
石炭輸送コストの抑制および
石炭価格でも前からの契約で
安く購入できたことが増益につながっていました。

このように追い風が吹いている企業では
収益を大きく伸ばしていけます。
また向かい風が吹いている電力企業では
売り上げが上がっても利益を出していくことが難しくなっています。
向かい風が吹いていても
大唐国際発電のように周りの環境や企業との契約等で
利益を伸ばしていけた企業もあります。
業種によって
追い風が吹いているのか向かい風が吹いているのかを見ていくと
企業努力だけではだめで収益でも後退していく局面が出てきます。
企業の業績だけを追っていくのだけではなくて
風がどっちの方向に向かって流れていくのかを見ていくことが
方向を間違わないためのひとつの羅針盤の役目をします。



当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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2005年7月18日(月)

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