イラストレーター・小泉鉄造さんが
明かしてくれる、株式投資の虎の巻

第565回
人民元切り上げの今後

中国の元が切り上げられた後の関心は
今後いつごろ再度切り上げが行われるのかが課題になってきました。
中国はすぐに切り上げていくということはしないでしょうが
いつまでも切り上げないでおくというわけにもいきません。
現在はアメリカは小幅にしても
人民元切り上げを行ったことを好感してメッセージを送っています。
ですが、アメリカに対する貿易赤字幅改善に対しては
ほとんどインパクトはないと言っていいでしょう。
いずれアメリカは人民元高に持っていくように
催促してくるでしょう。
中国政府は自国の経済成長が
長期安定的に発展させていくためには
しばらくは2%で済ませたいと思っています。
アメリカは中国の元は20%程度切り上がったとしても
中国企業の国際競争力は失われないと見ています。
今後は5%から15%くらいの範囲での
元切り上げを要求してくるようになるでしょう。
また中国が15%元を切り上げたとしても
中国がアメリカに対して貿易黒字幅が拡大してきたときには
再度切り上げを要求していくようになります。

かつての日本もそうでしたが、
アメリカに対して貿易黒字幅が拡大していくたびに
日本の通貨の円は円高になってきました。
日本がアメリカドルとの固定相場をやめた後、
長期的に円高が進み1995年には
ついにアメリカドルに対して80円前後まで上がってきています。
今後は中国もかつての日本のような立場になってきました。

中国政府の正式な見解ではありませんが
中国の元が最終的に兌換されるまでには
5年くらいかかるであろうという見方を示しました。
中国は世界で回っている投機資金が
中国に入ってきたときには
今の状態では対応できずに
中国経済自身がおかしくなっていくという見方を示した上で、
中国政府がそれに対応できるようになるには
中国国内企業の安定と金融改革が必要だと見ています。
その期間が5年程度になるという内容です。
5年間というと2010年です。

実際に2010年に元兌換が行われるかどうかは
今後の中国情勢とアメリカとの関係を見ていかなければいけません。
ですが、ここでは中国当局のひとつの見方として
5年程度という発言があったことが重要です。
つまり中国自身も元を
「通貨バスケット制」を導入したことが最終的な目的ではなく、
これから兌換に向かっての
本番が始まっていく前の段階に入ったということです。

野球のシステムで言えば中国の為替はプロとアマ、素人の段階が
あったとしたなら素人からやっとアマに入団した段階です。
アマからプロになるのに5年かかるか、もっと早くなるか遅く
なるかは中国政府のプレーしだいです。
アマにはアマの厳しさがあるでしょうしプロに入ったなら
また別な厳しさがあるでしょう。

ですが日本も素人からアマへそしてプロになってきました。
日本の企業が大きく発展してきた時期は
為替でも経済発展でも
素人からアマへ、そしてプロになった段階でした。
日本の経済でも発展途上国から中進国へ
そして先進国になってきました。

<次回に続く>



当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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2005年8月5日(金)

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