前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第13回
意外といけるやないですか

開店から一年たったある日、新たな展開がありました。
時々店に来ている、
背が高い目つきの鋭い無口な男がいました。
写真の現像に注文がちょっと付くのでN君は避けていて、
だいたい私が相手をするようになっていました。
彼がいつもの様にやってきて、
いつもと変わらぬ調子でこの店のことを教えろと言います。
何事かと聞いてみると、この人、アンドレアスさんは
デンマークの二大新聞社の一つのポリチケン社の記者でした。

しかもカメラマンでもあり、
隔週に出る写真のコラム担当でした。
店の話を聞き取ってメモが終わると
写真を撮りたいと言います。
N君は写真をられるのは嫌だというので
アンドレアスさんは私の写真を撮って帰りました。
半信半疑に数日後に掲載予定日の新聞を買ってビックリ。
半面に白い仕事着を着た私が写っています。
後はいくつかの大きな写真屋との値段などの比較の記事だけです。
こんなボロ店が
そんな風に紹介されるなんて思ってもいなかったので
特に大感激をしました。

この日を境にはっきりと黒字になりました。
一週間ぐらいはいつもの倍くらいのお客がありました。
それから後も新しい客が目立って増えていき、
開店して2年目は
去年とまったく違って楽しい気分で仕事ができました。
彼はその後も何回か我々をコラムで取り上げてくれました。
後日談ですが一時期、
アンドレアスさんは何かの事情でホームレスなってしまいました。
そしてホームレスの人が
自力で作ったホームレス新聞の記事と写真を担当していました。
テレビニュースに突然に彼が現れてきて
インタビューを受けているのを見て初めて知ったのです。
これにはビックリしましたが、
数年のホームレスの時期を乗り切って
今は仕事も住む所も確保できたらしく、
今は店に来てもこざっぱりとしてるのは嬉しいです。
一時期は汚れた服を着て臭っていたということですが、
私はそういうことが気が付きませんでした。
とにかくめでたいです。


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2004年8月4日(水)

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