前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第34回
一人では大変だ

そうこうしているうちに新店も三年目に入りました。
でもその頃は一店を二人で経営していた頃の
全盛期の半分も利益が上がりませんでした。
このミニラボのような店は、
ある一定の売り上げを越えて初めて大きく利益が出始めるのです。
家賃と借金が重しになってその線が大分上方にありました。
売り上げの上がらない理由ははっきりとは解りませんでした。
前の店のようにドンドン売り上げが増えて行く方が
普通ではなかったのかもしれません。
近所の店もモニターで見ながらプリントを調節できる、
私の店の小型の姉妹品を入れました。
すぐ近くにもう一軒チェーン店がオープンしました。
それにしても私の店は、乗り降りが一番多い駅のすぐ傍にあって、
どこよりも値段が安かったんですが・・・。

少ないお客とはいえ1時間に25人程のお客を捌いて
同時に二件の店の写真の現像をしなければなりません。
なぜ一人でもそれが可能だったかというと、
こちらの都合に合わせたシステムを作ったからです。

−お客はフィルムを入れる袋に自分で名前と電話番号を書く。
−前払いシステム(接客の回数を減らす)。
−写真を取りに来たお客は棚から自筆の袋を自分で探す。
−クレジットカードは極力避けてもらう。

以上を看板に書いて実行してもらいましたが、
お客さんに「こんな写真屋見たこと無い」と笑われました。
そして、初めての客でも
こちらは極力プリントを続けながら注文を聞きます。
客が書き終り又は財布を取り出したら初めて席を立ちました。
値段は端数を無くして出来るだけ単一にしました。
数人の客が並んだ場合は
着順に関係無く準備のできた人からにしました。
つまり、先に名前を書いたり先にお金を取り出した人から優先にして
且つ同時進行にしました。
そういうことはデンマークではしないのです。
どこでも一人一人順番に話をきちんと聞いて
丁寧に対応するのです。
だから嫌だった人も多かったと思います。
でも一番多い通勤と帰宅の途中のお客は、
時間が無いので早くて喜んでいました。
質問のある人や文句のある人は後回しにしました。
忙しい時は昼飯は隙を見て仕事をしながら一口だけ食べる。
それを繰り返して昼食として昼休みは無しでした。
こんな状態だったので、
お客さんは大抵黙って協力してくれました。


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2004年9月2日(木)

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