前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第74回
人気者にはマンション貸すな

ケンに貸すために私達が買ったマンションは、
50平米と狭いことを除くと
今まで見た中で最高のマンションでした。
どこで見たものよりも管理が行き届いて、
良い住人揃いのようです。
洗濯機のある地下も物を置ける屋根裏部屋も、
隅々まで手入れが行き届いて清潔でした。
(と、私が書いていますがそういう事に気づくのは妻です。
不動産を選ぶのはやはり女性が向いているかもしれません)

新聞に載ったその日に見に行って
「早くしないと誰かに先を越される」と感じて、
まったく値切らずにその場で買うことを決めました。
売り手は当然値切られるのを覚悟で値段をつけていたようです。
引っ越した翌日に部屋に入ると
リボンを付けたワインに
「おめでとう」のカードが添えてありました。
そんなことは後にも先にもこの時だけでしたから、
言い値ですぐに売れたのが嬉しかったのかもしれません。
頭金を20%程払って買いました。
壁は赤いレンガですから
手入れ無しで年と共に良い色になります。

デンマークには礼金、権利金、といったものは有りません。
毎月の給料から天引きで取りはぐれがないので、
家賃の前払いもいりません。
ケンも喜んで友達や母親に見せていたようですが、
丸1年たったところで深刻な顔をして私に切り出しました。
ケンの働いている店の建物の代表から
「管理人にならないか」と誘われたが
「どうしよう」と言うのです。
管理人は最上階の140平米のマンションに無料で住めるのです。
ただし無料の住居は税務署が収入と見なすので税金は掛かります。
そのマンションは、
今ではほとんど常識になっている地域暖房を、
住民が拒否しているので暖房器具が要ります。
居間には暖炉が付いていますが、薪を運ぶのは大変だし汚れます。
でも色々欠点は有っても広くて無料というのは魅力です。
「それは受けたほうがいいよ」と即座に私は答えました。
さすがに私もニコニコはしていなかったと思います。
「人気者にマンション貸すな」
後でムリエルが私に標語で教訓を垂れました。

手放そうとして、
とりあえず近所の若くて調子の良い不動産屋に
マンションを見せると、
私達は「高い買い物をした」と言われました。
そう言われても腑に落ちなかったのですが、
統計をみると不動産の値は去年よりも下がってはいます。
「とりあえずあなた達の希望価格やってみる。
売れなかったらお金はいらない」
と言われて全費用がカバーできる値段に設定して頼んでみました。


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2004年10月28日(木)

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