前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第87
隣でも国が違うと・・・

前回出てきたノヴォという会社は、
血友病患者のために血を固める薬も作っています。
イスラエルで出血多量で死にそうな怪我人に
「エイッ」と、その薬を試したら効果があったそうです。
デンマークはその薬を
イラクのデンマーク軍に送っているそうです。

そのノヴォで働くオランダ人の話では
「私はドイツ、オランダ、スペインと働いてきましが、
デンマーク人のように高い能率で働く人を見るのは珍しい。
スペインの1週間分の仕事を1日でこなしています」
「こんなに生活費が高くて、生活のレベルが高くて、
税金が高くては、たくさん働かなくてはね。
その上に共稼ぎもしなくちゃね」
(デンマーク人がドイツ人と比べて“非常に良く働く”とは
私には思えなかったですが、
統計で見ても外れていないらしいですね)
「フランス人はユーモアが他の人に受けたのを見て喜び、
イギリス人は自分の話に自分で喜び、
ドイツ人はユーモアが無い・・・」
でもまあ、これはフランス人のムリエルが言っていることです。
「スウェーデン人の喜劇役者とドイツ人の警官が最悪だ」
という小話は聞いたことがありますが、
同じ北欧でもデンマーク人は独特のユーモアがあります。
ムリエルは
「店に来るドイツ人は、
値段表を見て全部を解説してもらった後で決める」ので、
すぐに分かると言います。
「しっかりとした仕事をする」という定説もまだ消えていません。

ユトランド半島の寝具会社はドイツに進出しました。
期待と不安の1号店のオープニングは、
8時から20時まで開けてまずは上々の滑り出しでした。
ところが、店に買い物に来た警官は
夕方にもう一度やって来て、なんと「店を閉めろ」と命じました。
ドイツでは6時半以降は店を開けてはいけなかったのです。
翌日には税務署もやって来て、
幾種類かの品物を「密輸品」として没収していきました。
税制がデンマークと違っていて、
その頃の東ドイツからは商品を輸入してはいけなかったのです。

ドイツはその他色々違っていたので、試行錯誤を繰り返しました。
「三つ買ったら30%引き」の広告にも罰金をくらいました。
ドイツでは3%以上の値引き広告は法律違反だったのです。
一年目は罰金を100回ほど支払わされ、
安くてしかも高品質のダウンの布団は
なぜか売り上げが伸びませんでした。
どうもドイツ人の好みはデンマーク人と違うようでした。
そこで、赤字でしたが管理職と仕入れ係にドイツ人を入れました。
それから黒字に転じて今ではドイツには500の支店があります。


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2004年11月16日(火)

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