前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第92回
死んだドブ鼠

ガンビアは
元フランス領のセネガルにぐるりと囲まれた小さな国で
元はイギリス領なので英語がわりと通じます。
私たちの泊まったあたりの一連のホテルは
スウェーデンの女性が管理しているそうです。
見ると強そうなおばさんで、
横柄とも取れる物言いで現地の人を使っていました。
偉そうにしないと言うことをきいてくれないのかもしれません。

ホテルの中庭に本当に小さな木がまっすぐ一本立っていました。
そしてその幹に黄緑のへちまのような物が、
びっしりと隙間無くぶらさがっていました。
そのいびつな、へちまのような果物は毎朝の食卓に出てきました。
中に真っ黒い種がびっしりと入っていたので、
やっとそれがパパイアだと分かりました。
わざわざ買う気はしないが、
朝食に食べるのには向いた味だと思いました。

ホテルの窓からもう一つ変わった植物が見えました。
異様な形の巨木に、
毛の生えたフットボールのようなものが、
自身の尻尾のようなもので結び付けてあるように見えました。
それが葉っぱの無い木の枝に、
3つや4つではなくて数百個もぶら下がっていたのですから、
まったく度肝を抜かれます。
枯れ木色をしたその実は鳥の巣のようにでもあるし、
巨大な繭か卵のようでもあり、不気味な姿です。
この木が話に聞くバオバブの樹で、
幹が異様に太くて枝のつき方がアンバランスで、
その木自体がなんとも異様なのです。
しかも、その木の実がこんな奇妙奇天烈な姿をしていて、
このようにぶら下がるとは想像を絶しました。
私達は良い季節に来ました。
イギリス人達はこの実を“死んだドブ鼠”と呼ぶそうです。

後でツアーの時にガイドの人が実を割って見せてくれました。
薄い毛皮のような意外に軽い殻の中に
チョロチョロと繊維が生えて、中はほとんど空でした。
その繊維には片栗粉の塊のような粒が幾つも付いていて、
食べると薄っすらと甘いのでした。
アイスクリームの原料にするとのことでした。
四輪駆動で遠出をすると、
集落には必ずこのバオバブの生えた広場が有りました。
村の会合は、いつもその聖なる樹の下で開かれるのだそうです。


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2004年11月23日(火)

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