前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第99回
あまりにも“人間的”とはやっかいな

インテリのおまわりさんは“自称ガイド”をぶっ飛ばしました。
そこまでしなくてはならないのかと胸が痛みました。
私が思うには、
自称ガイドは何が起こるか予想できたはずで、
村の長老に先導された時点でも逃げることが出来たのです。
でも彼はまるでそれが宿命みたいに
最後まで私達に付き合いました。
旅行者を掴んだらすぐに「お金を手にしたのだ」いう気になって、
そうなったらなかなか「見切り」ができないようです。
感情に支配されると、使える頭を利用していません。
感情に負けるのは誰にでもある事ですが、
それでは頭を持っている甲斐が無いというものです。

警察署で調書を取っている時に、
偶然に自称ガイドと目が合って、私は一瞬ドキリとしました。
しかし彼は諦めきった落ち着いた表情で、
私と目が合ってもその顔に何の感情も浮かびませんでした。
自称ガイドの頭はもう別のモードに入っていて、
それまでの出来事は現実感がなくなってしまったかのようでした。
気分に呪縛されている人は
その気分が消えた後では、
何でそんなにむきになったのか説明できないようです。
嘘を言わなかった男には、私達とは違う文化の基準が有ります。
しつこくお金を要求したことにも、
自分達の基準による言い分が有ったのかも知れません。
この男や鳥類ガイドやレセプションの女性は、
私達が“何でお金を渡さないのか”不思議だったのかも知れません。
もっと話が出来たら、
多分文化の違いがもっとはっきり見えてきて面白かったのですが。

目が合った時に何の表情も浮かばなかった相手に、
私は親近感を感じました。
彼は私達と違う文化を持ち、粘着型の少々厄介な普通の人でした。
扇動家やマスコミが主導権を握って引っ張ると、
このタイプの集団は引きずられやすそうではあります。
集団ヒステリー状態から未曾有の大虐殺の起こったルワンダを、
私はつい連想しました。

インターネットを読んでいると、
日本では論理では無くて感情で物事を判断する傾向の意見が
まだ幅を利かしているようです。
そういう点では彼らとそんなにかけ離れていないように見えます。
多分、相手に思いやりを持てる事と論理的に考えられる事、
だけが多少の進歩の証になるのでしょう。


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2004年12月2日(木)

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