前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第128回
勝手に殺してよいものか?

私の家で飼っていた猫は昼間の大半を外で暮らしていました。
ある日、猫が外から帰ってくると、
横腹に形も光沢もバロック真珠にそっくりな塊が付いていました。
小粒のサクランボのぐらいの大きさで、
木の実にも見えるし、出来物のようにも見えます。
摘むとつるつるして引っ張っても取れないし、
猫は痛がる様子も有りません。
ところが二、三日して気がつくと猫の真珠は消えていました。
それで“やっぱり木の実だったのか”ということになりましたが、
それからしばらくして正体が解りました。
再び、大粒の真珠の様な物が付いていたので、
引っ張ると今度は簡単に取れました。
ひっくり返してみると真ん中のあたりに黒い点々が有りました。
隣のMr.ボンデに見せると、点々は血を吸ったダニの足でした。

この頃から猫は体が弱ってきましましたが、
悪い菌がダニを介して体に入ったのでしょうか。
そしてある日突然、
よろけながらも狂ったようにグルグル回り始めてびっくりしました。
妻が獣医に連れて行くと
「もう寿命だから」
楚々としてやさしい女性の獣医さんは、
控えめに安楽死を考えるように勧めました。
妻はショックを受けて「ちょっと考えるから」と、
猫を連れて帰りました。
デンマークでは
「引越をしたら動物が飼えなくなったから」とかいう理由で
簡単にペットを殺すことがあります。
それとこれとは違いますが、病気ということで、
飼っている人間が勝手にペットを殺していいのでしょうか。
動物は“もう死にたい”などとは思わないでしょうし
“苦痛が終わって欲しい”などとも考えないでしょう。
人間と違ってその手の苦痛には、
耐えるのはわりと平気なのではないでしょうか。
環境の変化や強いライバルの登場なら、
苦にして、耐えられずに病気になったり死んだりするそうですが。

猫に「どうする」とは聞けませんが。
猫は辛くても生きていたいと私は思いますが、
飼い主の方が苦しむのを見るに忍びなくて殺すのかと思いました。
そこで私達のそれぞれの仕事場の仲間に意見を聞いてみました。
ヨーロッパ人達でしたが
「殺さないのは飼い主のエゴイズムだ」と言う人ばかりで、
「別れたくないのは分かるけど」と、同情してくれるのでした。


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2005年1月11日(火)

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