前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第172回
デンマーク人肉屋さん北朝鮮へ

ある日突然、ダン・ハンセンという上海に住むデンマーク人に、
北朝鮮政府の職員と名乗る男が、電話を掛けてきました。
まったくの突然だったので、ダンは初め冗談だと思いました。
しかし、よく聞いてみると本当のようにも思えます。
その男の用件は
「3日以内に(!)平壌に来て
ファースト・フードの店を開いて欲しい」
と言いう頼みでした。
ダンは若い頃から中国に住んで16年になりますが、
その時、上海でやってきた仕事を辞めようと決めたところでした。
丁度よいので、報酬などを聞くと結構いいので、
それ以上考えずに彼の言葉を信じて、
その電話だけで承諾したそうです。
デンマーク人には、
のんびりとしていて物怖じしない人が多いのですが、
ダンもそのタイプのようです。

他には
「一緒に仕事をする仲間を9人連れてくること。
但し全員外国人であること」
という条件がありました。
そこで5人のモンゴル人と2人のフランス人と、
ドイツ、ジンバブエから1人ずつ集めました。
モンゴル人でも外国人扱いで通ったようです。
たった3日で、9人もの思い切りの良い人を、
よくもまあ集めたものですね。
3日後には総勢10人のグループで、
北京にビザを貰いに出発することが出来ました。
準備は非常に素早く出来たのですが、ここからが大変でした。
北京に着いたはいいが、北朝鮮のビザがなかなか下りないのです。
北朝鮮の政府の要請で、あれだけ急がしたのに、
いざとなると全員の身元調査で8日間もかかりました。

さて平壌空港に着くと、古いボルボが迎えに来ていました。
そして1行のメンバーの1人1人に“通訳”が付きました。
“通訳”はメンバー全員の言語が分るようでしたが、
お目付け役だけが仕事なのでした。
ダンには、平壌の町が清潔で、美しくて、
貧しさのかけらも見うけられないのは意外でした。
道行く人も、どこを眺めても、
ダンの想像とまったく違っていて、
貧しい身なりの人もいませんでした。
そして、街角の全てに公安のスパイとおぼしき人々がいて、
絶えずダンを見張っているのが分りました。
町の人とほとんど話ができませんでしたが、
たまに会話ができても、
誰もが「現状に非常に満足している」と答えるのでした。


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2005年3月14日(月)

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