前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第174回
南ヨーロッパでもう一度見たいもの

私は同じ場所に旅行するよりも、
まだ見たことの無いところに行きたい方なのですが、
もう一度目にしたいものもあります。

去年シシリアにいったのは4月でした。
背の高い野草の花は、様々な段階の赤と黄の密集の中に、
青、青紫、水色、と青の様々な色調が混じり、目も眩むほどでした。
その光景は、
黒澤明の映画に出てくる人工的な満開の花畑のようで、
夢の世界のようです。
ただ圧倒的に量が多くて、草花が大きいところが違います。
そしてその花で埋まった坂道の向こうに、
瓦礫となった古代ギリシャの建造物がころがっているのでした。
すぐ傍に観光の名所があって、バスは数時間停まったので、
この光景も見ることができました。
シシリアの遺跡はあまりにたくさんあるので、
規模が小さいとか、綺麗に残っていないとかいうことで、
省みられない物もあります。
これもその一つでした。
「春は野草の花が美しい」と1言、
デンマークのガイドブックに書いてあったのを思い出しました。
期待しないほうが感動は大きいので、
どうせ放っておいても目に入るものなら、
ガイドとしてはこれぐらいの方がよろしいです。
この文も、シシリアの花の季節に行く時は、忘れた方がいいです。
多分。

デンマークに来て初めての夏に、
バルセロナに近いスペインの海岸に1週間、
2食付の団体旅行に参加しました。
その頃は今よりまだ安かったのですが、
中でも一番安いパックを選びました。
ホテルのある町から電車でバルセロナまで行き、
駅のキオスクで地図を買い、サクラダ教会に行きました。
私はその教会の名は聞いたことも無く、興味も無かったのですが、
地図の表紙がその建てかけの教会だったので、行って見たのです。
そして、一目でその異様な建造物に圧倒されました。
天を突く、溶けかかったろうそくのような奇妙な塊の、
不気味な美しさに打たれてしまいました。
誰かにその感動を伝えたくなったのを今も覚えています。
多分日本でもその頃でも知られていてはいたのでしょうが、
オリンピックの後では誰でも知っている、
ガウディの教会なのでした。
建てかけというのが又良かったのでした。
この場合も、現在のように有名で、私が前もって知っていたら、
これ程の感動はしなかったと思います。


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2005年3月16日(水)

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