第二に、運に恵まれていることであろう。頭のよい人は、運不運にかかわりなく、陽のあたるところがどこか、探りあてて出向いて行くことができるが、運のよい人は意識的に動かなくとも、自分の位置しているところに陽があたってくる。たとえば、東京の郊外で農業をしていた人は、頭のよい悪いと関係なく、ふと気がついたら、耕やしていた畑が郊外電車の駅前になっており、一町歩何千円だった土地が坪一〇〇万円に値上がりしていたりする。こういう人は、たいした商才を持っていなくとも、財産を守る能力さえあれば、何もしないでも億万長者の仲間入りをすることができる。また専門知識を持たない人がコンピュータのメーカーになったり、オートバイのメーカーになったりすることはできないが、人に誘われてガソリン・スタンドをひらいたり、ラーメン屋をひらいたら、それがうまく時流に乗って、大当たりをとり、一〇軒も二〇軒もチェーン店ができあがってしまったということが起こる。運の強い人は、運に恵まれない人よりも、順調に事が運ぶが、事業に成功した人は、一般に運の強さに助けられている面が多いようである。
第三に、昔から一つの仕事に従事している人が、ある日、突如として運に恵まれて、同じ仕事でうまく行くようになったという例はほとんどない。仕事が成功するまでには着手してから一定の期間を必要とするが、新規に成功する仕事は、いずれも新しい仕事であり、本人にとっては、それまでに体験したことのない分野の仕事に限られている。たとえば「小僧ずし」をはじめた人だって、「ほっかほっか弁当」をはじめた人だって、それまでにそんな仕事をやった経験を持っているわけではない。新しい仕事に着手して、経営よろしきを得て成功するのであるから、見込みのありそうな「新しい仕事」をさがすことと、「経営よろしきを得る」ことがきめ手になる。この二つのことはどちらも運の問題ではなくて、頭の問題だから、やはり「頭のよさ」が不可欠の条件になるのである。
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