ブランデーやウイスキーといえば、数社しかないと私たちは思い込んでいるが、池袋の「西武食品館」に行ってみると、日本国内にだってどれだけたくさんあるかわからないほど種類があるのに、まず驚かされる。ましてワインとか洋菓子になったら、これはもう「小さな魚」が「大きな魚」を食う現象が当たり前になっている。今時、よその家を訪問するときに、明治や森永のビスケットを持って行く人がいたら、よほどの田舎者であろう。それほど反マスプロが主流になっているのが「食」の分野なのである。
だとしたら、衣食住の中で、これからもまだ割込みの余地を持っているのは「食」の分野だということになる。しかも、アンチ・マスプロがこれほど強力に働いている分野も他にないのだから、製造、流通、サービスの全過程を通じて、これから人も金も集中するのは「食」であり、「食」しか残っていないといえるのではあるまいか。
デパートもスーパーも、このことに気づかないわけがない。したがって、デパートもスーパーもこれからは、うんとこの方面に力を入れることになるであろう。これらの大店舖が食品に力を入れれば入れるほど、食品の高級化がおこる。食品の高級化は、個性と選別の上に築かれるから、そうした特徴をもった中小企業の協力がなければ成り立たない。
すでにこのことは、池袋の西武百貨店の「西武食品館」の隆盛ぶりが実証している。三越本店が灯の消えたように人通りが少なくなったのは、不況だからではない。魚の通り路に対する見通しを誤まり、昔ながらの位置で、昔ながらの姿勢で釣りを続けてきたからである。
一方、西武百貨店には、そういう変化に対する戦術も戦略もあって、消費者心理の動きに対応して、漁場を変えているから、ついに売上げ日本一の座を奪取することができたのである。
こうして見ると、魚が釣れなくなったら、漁場を変えてみるのが一番である。古いところで釣れなければ、魚の新しい通り路をさがせばよいということになる。
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