第70回
「卒業即就職というコースは流行遅れ」

少し前までは学校を卒業すると、
就職をするのがおきまりのコースでした。
社会へ出ると、
学校で習ったことはほとんど役に立ちません。
実際に役に立たないことを
学校が教えていることがわかります。

仕方がないので、新人社員を採用した企業が
自分たちの会社に役立つように
社員の訓練をします。
よその会社に勤めたことのある経験者を採らずに、
学校出たての未経験者を採用したのは、
白紙状態にある若者を
自分らの思うように育てたかったからです。
そうやってそれぞれの会社向きの
枝ぶりに伸びた社員たちは
愛社精神を持って定年になるまで
1つの会社で働くのが当然だと思われてきました。

そういう時代には会社を途中で退職しようものなら、
再就職するのは容易ではありませんでした。
三菱で働いていた人を三井も住友も
雇ってくれません。
三和銀行に勤めていたサラリーマンを
富士銀行が採用する筈がありません。
昨今の外資企業のように、
採用したその日からでも
すぐ仕事のできる同業他社の従業員を
引っこ抜いたりするようなことはありませんでした。

それがだんだん風向きが変わって、
リストラで社員の整理をする会社がふえた半面、
もっとよい就職口があれば、
鞍替えをするサラリーマンも珍しくなくなりました。
会社が一生を送るところでなくなれば、
愛社心もかなり後退するし、
会社が人生修行をする唯一の場所でもなくなります。

と同時に、再就職もそんなに難しくなくなりましたから、
諸国修行の旅を終えてから就職をしても
間に合うようになりました。
就職をして3ヶ月もたたないうちに
さっさと一流会社を辞める若者がふえたことを
嘆く声がきかれますが、
「卒業即就職」という環境ではなくなってしまったのです。

いま若者はどこを目指すかというと、
諸国武者修行ではないでしょうか。
留学もそのなかの選択肢の1つですが、
何をやるにしても先ずぶつかる壁が
言葉の障害ですね。





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