第250回
100円ショップは工業化日本の発想

いま日本国中に100円ショップは
3000店くらいあるそうです。
そのうち1600店を広島のダイソーが占めているときいて、
私は東広島市にあるダイソーの本社まで訪ねて行って、
社長の矢野博丈さんから、
今日に至るまでの苦労話をききました。

1品100円の品物を
年間に1500億円も売るようになるのは、
もとより容易なことではありませんが、
矢野さんの生い立ちについては
あちこちの雑誌が書くようになりましたので、
ここではくりかえしません。
私が面白いと思ったのは、
均一ストアという発想は戦前からありましたが、
矢野さんがそれを一過性のものではなくて、
商売の1つのスタイルとして確立したことです。

不景気によって物が売れなくなったことが
追い風になっている面もありますが、
安さを追求する人々の天性にうまく投じて
エンターテインメント産業に仕上げたことと、
工業社会に育った人でないと思いつかないような
コスト・ダウン攻勢を展開できたことが
アメリカから輸入されたディスカウト・ハウスと
一味も二味も違う新商法になっているのです。
安く売れば売るほど自分の座っている椅子を削る安売り屋と
100円ショップの違うところでしょう。

その代わり常に飽きっぽいお客たちを
満足させなければなりませんから、
新商品の開発に昼も夜もない生活が続きます。
安さと驚きの追求をして行けば、
商品の供給先は世界中に広がりますが、
基本的には新奇な工業製品を
如何に安く手当てするかということにつきますから、
やがてメイド・イン・チャイナが主流になって行くことは
避けられないでしょう。

いまはヨーロッパからも、南米からも、
またトルコからでも売り込みがあって、
世界中から商品が集まることになるだろう
という話でしたが、
工業製品の大量生産による
コスト・ダウンという発想がなければ
思いつかない事業ですから、
これも日本文化の1つに数えていい企業でしょうね。


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