第282回
30才でスタート・ラインに立つ

「30才にして立つ」と孔子も言っています。
孔子の時代は平均寿命が恐らく50才以下でしたから、
30才はいまの30才よりずっと老化していたでしょう。
「立つ」とはもう誰の力を借りなくとも
社会的に一人歩きができるという意味でしょうが、
人生80年時代の30才は
やっとその戸口に立ったところでしょう。

30才前後になっていままで勤めていた会社を辞めて
新しく出なおすことは、
定年まで一つの会社に勤める人から見れば、
一度乗り込んだ長距離列車から
途中下車をするようなものです。
皆さんの持っている切符をもう一度よく見て下さい。
表か裏のどこかに「途中下車、前途無効」と
小さな字で書いてあります。
一度下りたら、同じ列車には乗せてもらえないし、
別の列車にも乗せてもらえないのです。
日本の商習慣では、中途採用というのが一流企業には
ほとんどありませんでしたので、
一度会社を辞めると出戻りはもちろんできませんし、
同業他社も採用してくれませんでした。

途中下車をした人は
一流企業に再就職をするのはあきらめて、
独立して小さな店をひらくのでなければ
そういう中小企業で働くよりほかありません。
それは学校を中退してスシ屋やカレーライス屋で働くのと
あまり変わりはありません。
エリートコースに比べると、
世間の下積みになるような感じで、
本人たちも小さくなって暮らしていましたが、
そこから一念発起して、
独立自営をして
大きなチェーン店の経営者にのしあがった人もおります。

とりわけ超一流と目された
銀行や不動産会社やデパートが倒産したり、
倒産に至らなくとも、リストラで
非自発的に出世コースからはずされる
エリート・サラリーマンがふえるようになると、
一足先に途中下車をして新しい道を開拓した人の方が
先見の明があったことになります。
30才は卒業後、どこかの会社に入社して
ウオーミング・アップをした人が
スタート・ラインに着くいい時期だと思います。


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2000年12月17日(日)

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