第582回
21世紀は「文明の衝突」する世紀

21世紀はどんな世紀になるのでしょうか。
まだはじまったばかりで、次の百年がどうなるのか、
誰にもわからないというのが本当でしょうが、
20世紀が物資的繁栄を追求する
資本主義的文明の世紀だとしたら、
21世紀はそうした文明がほぼ飽和点に達して、
グローバル化の過程で、
異質の文明と衝突をくりかえしながら、
いままでと異なる共存の体制を
模索する世紀になることが
考えられます。

地球上のある特定の地球が富に恵まれて、
他の地域が飢えに曝されているのも
リクツに合わないことだし、
現に先進国の資本と人材が発展途上国に動いて
新しい付加価値の創造に努め、
所得水準の差を縮める動きも出てきています。
この差が縮まるにつれて、
富を背景とした先進国の発言権や優位も
少しずつ後退しますから、
アメリカが主導権を握った時代はやがて
過去のものとなるでしょう。

それを象徴するかのようなテロ事件が去る
9月11日にニューヨークで起こりました。
私は台北にいて、ワールド・トレイド・センターの建物が
旅客機の激突によって崩れ落ちて行くのを
見ていましたが、
こういう形で21世紀の争乱がはじまるのかと
身体の中を虫酸が走るのを覚えました。

アメリカと正面衝突しているのが
ロシアでも中国でもなく、回教の過激派であることが
改めて実感されました。
3年ほど前にハーバード大学の
サミュエル・ハンチントンという政治学の教授が書いた
「文明の衝突」という本を読んだことがあります。
(集英社刊、2800円プラス消費税)
ハンチントン教授は回教の国々がキリスト教の国々と
衝突することを想定して、
これは国と国との利害の衝突ではなくて、
異なる文明と文明の間の衝突だと説明していました。
私は回教徒の国に行ったことはありますが、
回教徒の友人もいないで、回教のこともよく知らないので、
フンフンと感心しながら読んだだけでしたが、
いまにしてその指摘の正確さに
脱帽敬礼しているところです。


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2001年10月13日(土)

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