第584回
ベルリンの壁よ、さようなら

グローバル化とは国と国をへだてていた国境の壁が
とり払われて、
往き来が自由になることを言います。

ベルリンの壁というのがありました。
そこを乗りこえて東ベルリンから西ベルリンに
生命がけで逃げてくる人があとを絶ちませんでした。
「そんなに行きたかったら勝手に行け」と
ゲイトを明けて逃がしてやればよさそうなものですが、
それをやらせないのが独裁専制国家の特長なんです。

恐い物見たさに私もわざわざ
パリから西ベルリンに飛んだことがありましたが、
驚いたことに西ベルリンに入るのに
パスポートのチェックもないんですね。
考えて見れば、
東ベルリンから西ベルリンに亡命する人はいても、
頼まれても東ペルリンにもぐり込んで
そのまま帰らない人はいないのですから、
入管なんてなくて当り前です。

折角、来たのですから、
東ベルリンを一まわりして見ようと考えて、
ツアーに参加しました。
所要時間は約3時間ということでしたが、
ゲイトを入る時と戻る時のチェックだけに
往復1時間半かかりましたから
正味の滞在時間はたったの1時間半でした。
陶器の好きな私はマイセンのいい物はないかと
キョロキョロしましたが、
東ドイツ製の最高級品のマイセンは
西ベルリンのカーデーべーという百貨店に
一番たくさん揃っていました。

あれから10年あまりたって
ベルリンの壁が取り壊されてから、
もう一度、ベルリンに行ってみました。
落書が印象的だったあの壁は
どこにあったかも忘れられて、
つわものどもの夢の跡には建設現場のクレーンが
あちこちに建ち並んでいるだけでした。
どうして人間はつまらないことのために、
あんなに生命を賭けてまで相争うのでしょうね。
壁さえ取りこわせば、
物も人もお金も自由に往き来ができるようになります。
その代わりテロリストや国際犯罪の
活躍舞台も大きくなります。
それでも人間は昔よりずっと自由に生きることが
できるようになったと思いませんか。


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2001年10月15日(月)

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