第664回
商売替えは先ず捨てることから

引っ越しをする時は
先ず何を捨てるかということからはじめるものだと
前に言ったことがあります。
何を捨てるかを決めなければ、
古いお荷物をそのまま抱えて行くよりほかありません。
新しい家が古い荷物をそのまま抱え込んでも
まだありあまるほど大きければ何とかなるでしょうが、
それでは気分が一新しません。
そもそも引っ越しをする意味がなくなってしまいます。

まして商売替えをするとか、
職を変えるということになると、
時代遅れになった物も場所も、
そして、物の考え方も捨てなければなりません。
捨てるためには思い切りが必要だし、
犠牲を払う覚悟も必要だし、
痛みを伴わないで次の段階に入ることはできません。

私は8年前の1993年の11月に
香港の飛行場の着陸に失敗して
海に突っ込んだ中華航空の飛行機に
乗っていたことがあります。
頭の上から海水をかぶりましたが、
幸いにもかすり傷一つ負わないですみました。
しかし、それが悪運のはじまりで
やることなすことご難続きで、
世間より一足先にピンチにおちいってしまいました。
はじめは不本意でしたが、自分の財産や事業を
次々と捨てるよりほかなくなり、
そのうちに一難去ってまた一難、
今日は何億円損をしたと言われても
驚かなくなってしまいました。
まだ損をする財産があったのかなと感心するだけで、
捨てることになれると
自分が無一文になる日があるかも知れないと考えても、
怖しいとは思わなくなりました。

毎年毎年、捨てることを続けているうちに
捨てることになれてしまい、
次には先に見込みがないと思っている事業を、
まだ駄目にならないうちに捨てるようにさえなりました。
いよいよ駄目になってからお手挙げするよりも、
思い切って捨てる方が傷は浅くてすむんです。
新しい方向を転換をするためには、
先ず捨てることからスタートしなければならないことを
身をもって経験したので、
以来捨てることを怖れなくなりました。
これ、難しいことなんです。


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2002年1月3日(木)

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