第839回
チベット旅行は一生に1度のいい経験

ダライ・ラマが崇拝の対象になっているので、
チベットの宗教をラマ教と
日本では誤って伝えられましたが、
本当は大乗仏教なんですね。
佛教はチベットとシルク・ロードの
2つのルートを経由して中国に伝来し、
チベットにはそのまま温存されて
いまだに庶民の信心の対象になっていますが、
シルク・ロードでは拝火教が佛教を駆逐して
勢力を拡げたので、
いまでは回教圏になっています。

敦煌や蘭州には8月に行くことになっていますが、
そのもっと先のウルムチやカシュガルに行っても、
西へ通ずるルートは私たちの知っている沿海地域の中国とは
かなり趣の違う世界です。
特にチベットは
海抜3,500メートル以上の高層地帯にありますから、
いくら北京政府が漢民族の移住を奨励しても
居つかずに逃げ出してしまうので、
内モンゴルや新疆ウイグルのような具合には
行かないのです。

見学や観光に行くと言っても、
行くところはお寺ばかりですから、
一番目につくのがお寺参りをするチベット人が
地面にひれ伏しては起き上がってはまたひれ伏す姿です。
ポタラ宮にしても、ダライ・ラマの宮殿というよりは
ダライ・ラマが釈迦如来や文殊菩薩に
お経をあげるところですから、
5世紀から7世紀も前の人間の生活を
再現して見せてもらっているようなものです。

これからの世の中を生きて行く上の
参考になることはありませんが、
過去の人間がどういう生き方をしてきたか、
人類の文化はどういうプロセスを経て今日に至ったのか、
理解する上では大へん役に立つ旅行です。
3日目になると、ほとんどの人が元気を恢復しましたが、
一夜明けてチベットにお別れするバスに乗り込んだ時は
みなすっかり明るい表情をしておりました。
飛行機を成都で乗りかえて、上海のホテルに着いて私が
「本当に皆さんご苦労さまでした」と挨拶をしたら、
皆が一せいにドッと笑いましたから、
こんなところがチベット旅行の本音だったと
言っていいでしょうね。


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2002年6月27日(木)

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