第896回
食べ物の世界にも流行があります

よく考えて見ると、私たちは毎日、
同じ物を食べているように見えても、
食べ物にも時代の流行があって少しずつ変化しています。
50年前、私が香港から東京へ戻ってきた時、
日本はまだ食糧不足に悩んでいた時でしたが、
魚肉ソーセージがよく売れていました。
牛肉や豚肉は家畜に飼料をあたえて
時間をかけて育てなければ成りませんが、
魚は海に船を出してつかまえてくれば手に入ったのです。
ですから魚でアメリカ兵の食べている
ハムやソーセージもどきの食品をつくり、
それが人気商品になっていました。

私はそれを見て、
日本人の所得水準がもう少し上がったら、
もどきにはあきたらなくなって
本物のハム、ソーセージが
日本人の食卓にのぼるようになるだろうと思いました。
何年かたって高度成長期に突入した日本の株を
私がとりあげるようになった時、
私はいまの日本ハムの前身だった徳島ハムや
プリマハムの出身だった竹岸ハムを
成長株として推奨したことがあります。
なかなか優勝しない日本ハムですが、
田舎の小さなハム、ソーセージ屋さんが
球団まで持つ大企業に成長するとは
さすがの私も思っていませんでした。

パンを食べなかった日本人が学校給食のおかげで、
パンに馴染むようになったし、
戦争に負けて、
多くの兵隊さんが大陸から引き揚げてきたおかげで、
ラーメンを日本の食べ物の一つにしてしまいました。
ちょうど自動車の技術をアメリカに学んだ日本が
トヨペットやアコードを
メイド・イン・ジャパンの自動車として
輸出しているように、
中国から持って帰ったラーメンのつくり方が
日本式ラーメンとして再輸出され、
東南アジアからアメリカやヨーロッパまで
風靡するようになったのです。

ニンニクを食べなかった日本人も
ニンニクを食べるようになったし、
韓国の食べ物だった焼肉やキムチが
若者たちの間でブームになっています。
こうした日本人の食べ物の流行は
どっちを向いて動いて行くのでしょうか。
それを正しくとらえた人は
食べ物の世界で産を築くことになるのです。


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2002年8月23日(金)

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