第1191回
財産が減ったら消費をする人はいません

政府は銀行の不良債権を片づけたり、
役所の無駄使いを改めれば、
日本経済は自然に立ち直ると考えているようですが、
それは間違いです。
銀行に大量の不良債権が発生したのは、
いままでのようなやり方を続けていたのでは
日本経済が成り立たなくなったからです。
假りに不良債権がうまく整理されて
銀行が立ち直ったとしても、
日本経済がうまく立ち直らなければ、
銀行は貸したお金が返してもらえなくなって
整理したあとからまた不良債権の山になってしまいます。

公的資金を注入して
銀行の立て直しをすると言っても、
銀行がひっかかって回収不能におちいった資金を
政府が肩代わりをして預金者に支払って
金融恐慌を一時的に回避しているだけのことです。
そのために支出した紙幣も政府の資産ではなくて
何らかの借金の名目の下に
日銀が印刷してつくり出したものです。
それを次から次へと日本銀行の窓口から送り出したら
大インフレになりそうなものですが、
それがそうならないのは、
もともと失われてしまった資金を
代わりに預金者に返済しているだけのことで、
返済したお金はもとの銀行に回収されてしまうからです。
それによって借金の返済を
免除してもらった大企業はありますが、
お金がふえたり儲かったりした人は一人もありません。
いくら紙幣を印刷してもインフレにならないのはそのためです。

むしろ政府の期待に反して国民の財産は減る一方です。
どうしてかというと、土地と株が
相変らず値下がりする方向にあるからです。
私は国が全力をあげて地価と株価の値下がりを
食い止めるべきだと主張してきましたが、
政治家たちにはその意味がわからないらしく
不良債権を整理するために銀行に株を売らせています。
買う人がいないのに銀行が株を売れば
株価はもっと下がります。
株価が下がれば銀行の赤字は
もっと大きくなるばかりでなく、
国民の財産も大幅に減ります。
財産の減るなかで気前よくお金を使う人が
どこにいるのでしょうか。
こんなやり方で日本経済が立ち直るのでしょうか。


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2003年6月14日(土)

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