第1518回
買物上手は中国女性の誇りです

値切る習慣のある社会では
言い値で物を買う人は先ずいません。
売手もそのことをよく知っています。
値切る方も値切った値段で買えないことを知っています。
だから双方で少しずつ歩み寄ります。

言い値と買い値が近づいて
話が成立しそうになると、
どちらかが言い寄ります。
すぐに売り手がオーケーする場合もありますが、
売り手が承知しない場合は、
買手は店先を離れるポーズをとります。
買手がその値段で妥協する場合は
すぐに呼びとめますが、
双方にひらきがありすぎて
売る気のない場合はお客が出て行くに任せます。
このへんの駆け引きは
日本人のように値切る習慣のない人では
なかなかうまく行きません。

たとえば私の友人が奥さん連れで香港に来ると、
うちの家内がよくショッピングの案内をします。
宝石がほしいという人を
ペニンシュラホテルのアーケードに連れて行きます。
一流品を売っているアーケードですから、
エルメスやグッチやルイ・ヴィトンは値切れません。
でも同じ並びにある宝石店は
中国人の経営ですから値切れます。
気に入った指輪があって、
正札が香港ドルで10万ドルだとします。
「もう少し負けてもらえないかしら」
と日本人の奥さんは小声でききます。
でも一流店ですから
日本人の奥さんに値切らせると、
思い切って値切ったとしても3割くらいでしょう。
うっかりそんなことを口に出したら、
もうそれで敵のワナにかかってしまったようなものです。
4の5の言って最終的には2割引か、
1割5分引きで買わされることになるでしょう。

うちの家内を見ると
少しの物おじもしないで
4分の1の値段から値切りはじめます。
まさかと連れの奥さんは驚きますが、
最終的に4万ドル前後で落着き、
買ったご本人も
安い買物をしたといって喜んで帰ります。
値切ってもらったお礼に食事代を払っても
充分、引き合うと思いますが、
値切ってもらった上に、
食事までご馳走になるのですから、
悪い旅行ではありません。
でも安く買うことに誇りを感じているので、
うちの奥さんも、ご馳走のお金を払った上に
内心、満足して帰ってきます。


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