第1567回
経済成長に追いつかない運送業

貿易額が輸出入あわせて
年に30%ずつふえているのに、
中国では運送が間に合っていません。
陸も海も滞貨の山で、
北京の輸送部でも、
「鉄道輸送は需要に対して35%の不足」と発表しています。
1日に29万輌の申し込みがあるのに、
9.5万輌しか積み込まれていませんから、
35%不足ではなくて、
35%しか充たしていないというのが実情でしょう。

鉄道事業では上場されている会社が1社ありますが、
他はほとんど国営ですから、
値上げもできないし、
不足に対応する融通性も持ち合わせていません。
鉄道輸送に一番たよっているのは石炭ですから、
折角、掘り出した石炭が滞貨の山になっています。
不足する電力を補給すべく
発電設備は増強されていますが、
石炭が届かないために、
電力不足が解決できず、
どこの工業団地でも停電のために作業が停止し、
戦々兢々としています。
日本では炭鉱は斜陽産業と考えられていますが、
中国ではいまなお高配当を続ける
成長産業に数えられています。

陸上はそれでもまだ
高速道路をトラックで運ぶ道が残されていますが、
海上輸送になるともっと深刻です。
いま海上輸送で一番多いのは石炭と鉄鉱石ですが、
これらの貨物はコンテナに入れて運べないので、
産地から鉄道で秦皇島まで運び、
そこから貨物船に積んで需要先に運びます。
また鉄鉱石は鉄鋼生産が5年以内に
2.3億トンから3.5億トンに増加する見込みなので、
毎年の鉄鉱石の輸入だけでも
大へんな数量でふえ続けます。

この上、石油の輸入が
うなぎのぼりにふえ続けていますから、
石油運搬用のタンカーの不足が目立ちます。
ほんの数年前までは
全く考えられなかったような新しい需要が
次々と生み出され、
しかもそれを外国船を使わずに
自国の海運会社に特約で運ばせていますから
中国の海運会社は次々と再編成を余儀なくされ、
中外運とか、中海発展とかいった海運会社は
前年比、格段の成長が見込まれています。
いずれも中国の新しい経済が生み出した
新しい動きですから
お見のがしのないように。


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