第1637回
カネとモノが動いたらヒトも動きます

人が住みなれた土地から
動きたがらないのは
住みなれると植物のように
根が生えてしまうからでもありますが、
もっと条件のよいところに動かなくとも
何とか食べて行ける環境におかれているからです。
工業化の進む過程で、
より良い条件を求める人たちは
大都会や新興工業地帯に移動してしまいました。
おかげで同じ日本国内に
過密地帯と過疎化地帯ができてしまったのです。

それでもまだ人手不足が続いたので、
一時期、人手を求めて過疎化した地方に
工場をつくる動きがありました。
しかし、日本の賃金があがりすぎて
生産基地としての魅力を失うようになると、
生産基地をもっとコストの安い海外に
移す動きがはじまりました。
日本の企業は工場が地方にあっても、
労働組合が一つであるために、
地方も都会も単一賃金になっているところが大半です。
コストダウンのために
工場を閉鎖するとなると、
どうしても地方の工場から着手しますから、
地方から先に不景気がはじまります。
地方の組合の幹部が先頭に立って
本社に陳情に行きますが、
いくら賃金カットに応ずると言っても、
まさか中国並みに
日本の20分の1、30分の1というわけには行きません。
結局は規定並みの退職金をもらって
失業してしまうことになってしまいます。

中年から上はそれでも仕方ないとしても、
まだ20代とか30代の青年や
これから学校を出て就職するフレッシュマンは
どうすればいいのでしょうか。
もちろん、国内でもっと悪い条件でもガマンして
職にありつける可能性は多少はあります。
しかし、まさか20万円のサラリーをもらえる国の人が
1万円しかもらえない国まで
職を探がしに行くことはないだろうし、
假りに行ったとしても
職を見つけることは容易ではないだろうと
私は単純に思い込んでいました。
カネやモノは簡単に動いたとしても、
ヒトは一番動きにくいだろうと
誰だって考えます。
ところが必らずしもそうでないことに
最近になって私もやっと気がつきました。
人は必らずしも
お金だけで動くものではないのです。


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