第1730回
支払いを先に延ばさない習慣を

私は商売が駄目になることには敏感です。
まだ駄目になってもいないのに、
もう駄目になった時のことをいつも考えます。

第一次石油ショックの前に
台湾で工業団地の開発をやったことがあります。
色んな日本の中小企業が
コストインフレを見越して
賃金の安い台湾に工場を移すに際して、
私にパートナーになってもらえないかと頼んできました。
いずれも私がやったことのない事業だったので、
万一、工場を閉鎖するところまで
追い込まれた時のことを考えて、
私は次のような条件を出しました。

1.資本金は半々ずつ出資する。
2.生産工程と販売先については日本側が責任を持ち、
  政府との交渉、人材の募集と訓練、
  地元企業との取引についてはこちらが責任を持つ。
3.手形、先付け小切手は一切発行しない。
4.不動産を担保に銀行からの融資は受けるが、
  設備投資及び運用資金はすべて自己資金で賄う。

どうしてかというと、
機械や設備は廃業に追い込まれると二束三文だが、
土地建物は銀行がお金を貸すくらいだから、
いざという時は銀行に引き取ってもらえば
解決がつくからです。
また手形が発行されていなければ、
倒産に追い込まれる心配はなく、
未収はあっても未払いはないから
最終的に借金は残りません。

そういう条件をのんでもらって
短期間に異業種の工場を次々と建てたところ、
それから間もなく第一次石油ショックが起り、
やって行けない工場が続出しました。
あの時、日本もそうでしたが、
台湾でも企業がバタバタと倒れ、
私自身、1年に6社も工場を
閉鎖させられてしまいました。
もちろん、てんやわんやの騒ぎでしたが、
営業を停止しても未払いがなかったので
債権者に追いかけられずにすみ、
不動産は値上がりしましたので、
銀行の借金も職員の退職金も
何とか辻褄を合わせることができたのです。

その時の習慣が身について
いまでも手形を一枚も切っていませんので、
何とか倒産の憂目を見ないですんでいます。


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