第1788回
いまに役人の成り手がいなくなります

いま中国で起っているゴタゴタは、
ゴタゴタのところだけを見たら、
政府の抑えがきかなくなったように見えます。
しかし、違う角度から見たら、
強権でずっと抑え込んできた政府が
タガをゆるめて
人民の言うことに耳を傾けるようになったと
解釈することもできます。

どうしてそういうようになったかというと
経済が発展して
生活にゆとりがあるようになったからです。
人民の発言権が強くなったということもできますが、
役人や軍人も含めて
国全体の雰囲気が変わりつつあるのです。
もう一つは情報の伝達が容易になって
世界中がどうなっているかについて中国人が理解し、
少しずつでもそれに近づこうとするようになったからです。
北朝鮮やミャンマーのような国でも
やがて同じようなことが起ることは目に見えています。

中国の場合は香港と台湾で
一足先にそういう動きがありました。
香港の返還を契機として
香港との関係が密接になり、
中国が香港に影響するより
香港が中国に影響することの方が多いだろうと見て、
私は「中国大陸の香港化」という表現をしたのですが、
工業化とか民主化とか言った点では
台湾が一足先に実験をしたと見てよいでしょう。
台湾ではそれを
「台湾体験が中国の発展に役に立ちます」
と言っているのですが、
いま中国で起っているゴタゴタは
一足先に台湾が経験したことですから、
心配するほどのことではありません。

但し、このまま進行すると、
そのうちに中国で
役人のなり手がいなくなってしまいます。
役人はサラリーも多いとは言えないし、
その上、腐った卵を投げつけられるようになるとすれば、
サラリーをたくさんもらえる進出企業の幹部になったり、
自分で起業して
お金儲けの第一線に立つ道を選ぶ人が
ふえるに決まっています。
官僚専制の厚い壁を打ち破るのは
人々の物の考え方であり、
物の考え方を変えるのは
ほかならぬ経済の発展です。
武器でないことだけは確かです。


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